第一級アマチュア無線技士の資格試験を受験した

ちょっと前に電子工学の入門をしたのだけど、理論についてもう少しまとまった知識を身に付けたいと思い、いっちょやってみるかと第一級アマチュア無線技士の資格(いわゆる1アマ)の取得に取り組むことにした。

1アマは、昔は通信術の試験があって、高速なモールス通信を身に付ける必要があり難しかったのが、今は筆記試験だけになりハードルが下がっている。もともと、他の級のアマチュア無線技士の資格はもってなくて前提知識は大してなかったのだけど、きっちり勉強すればなんとかなるやろうと思って一気に一級にチャレンジした。

勉強の仕方

試験は工学と法規の二科目あるので、それぞれ勉強する必要がある。

法規は基本的に暗記なので、比較的ハードルは低い。工学については、基礎的な電気物理やアナログの電子回路、無線機のしくみや電波の性質について理解する必要があって、ある程度体系的に学んでいく必要がある。

勉強の期間はだいたい3ヶ月くらいだった。最初はとにかく試験範囲を知るべきかと思って、試験範囲を網羅的に解説してくれる本を買ってきて読んでみた。

解説・無線工学 2016/2017: 第1級・第2級アマチュア無線技士国家試験用

解説・無線工学 2016/2017: 第1級・第2級アマチュア無線技士国家試験用

この本は400ページくらいあって、読むのに1ヶ月くらいかかった。今思うとちょっと時間をかけすぎてしまったように思う。詳細に解説がのっている本なので、軽く目を通した後で辞書的に使うというのが良さそう。

この本を読んだあとは、評判の良さそうな問題集を買ってきて、繰り返し問いていった。

第一級アマチュア無線技士試験問題集 (合格精選400題)

第一級アマチュア無線技士試験問題集 (合格精選400題)

  • 作者: 吉川忠久
  • 出版社/メーカー: 東京電機大学出版局
  • 発売日: 2012/10/22
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1周目はざっと問題を問いて、どういう雰囲気の問題がでるのかだけ確認した。2周目は、問題をまちがえた時は問題の解説をじっくり読んで理解するというやり方で問いた。2週目が終ったところでだいたい一度は全範囲を理解しているという状態になったので、記憶に定着するように3週目、4週目と問題を問いていった。範囲が広いので繰り返しやって、頭にすりこんでいく感じになる。はじめは1周やるのに2週間くらいかかってたと思うけど、最後には1週間強くらいで済むようになったので、一応前進している感じはあった。

工学の勉強で特に無線工学を基礎から学ぶ 第1級アマチュア無線技士という有名な解説サイトにお世話になった。過去問に対して、一問一問かなり詳細な説明をしてくれていて非常に助かった。教科書はこのサイトだけでも良いと思う。

法規については、ただ、問題だけみていても条文の前後関係とかが良くわからず難しかったので、教科書として電波法令抄録を購入した。

アマチュア局用 電波法令抄録 2015/2016年版

アマチュア局用 電波法令抄録 2015/2016年版

あと、昼休みと終業時間の二回のタイミングで、ランダムで過去問を一問出題してくれるSlack botを作って活用した。2ヶ月くらいの間、平日は毎日2問は問題を問いていたことになるので、80問くらいになると思う。ちょっとは役に立ったはず。

直前には、過去問を2,3回分くらい問いたりして、やったことのない問題がでてきてもびっくりしないように準備した。

試験当日

緊張していまいちぐっすり寝れなかった上に、会場が電車で一時間くらいの場所で早起きする必要があり、ずっと眠かった。

今回の試験は工学がちょっと簡単だったように思う。過去問の傾向では2,3問は複雑な計算問題がでてくるのだけれど、今回の試験ではそういった複雑な計算問題はほぼなかった。ただ計算問題の総数自体は例年より増えていた印象。

複雑な計算に時間をとられなかった分、じっくり検算する余裕があったので、そこそこ自信をもって試験を終えられた。B問題では、まったくわからない問題を勘で答えてまちがえたり、慌ててしまい "太陽に照らされている" が正解なところを "太陽に照らされていない" って答えてしまった。

法規のほうは、自信満々で満点やろ!とか思いながら試験を終えたものの、意外と覚え間違いがあり、そこそこ間違えた。試験後に問題と法令と照らしあわせて考えてみたんだけど、思い込みがあるのか、未だにどこを間違ってしまったのかがわからない..。

試験会場では、みなさん試験直前もがっつり計算問題の練習とかして勉強されていて、すげーなって感じだった。僕はとにかく集中できなくて、雑にしか勉強できなかった。試験受けるの学生以来なので、試験官のおじさんのことを思わず先生って認識してしまうということもわかった(「先生なかなかこないなー」って考えたりしてたけど冷静に考えると先生ではなかった)。

自己採点

今回の試験の問題と回答が公開されたので自己採点をしてみた。結果としては

  • 法規: 139/150 ( 92.6 % 正解 )
  • 工学: 148/150 ( 98.6 % 正解)

だった。105点が合格ラインなので、たぶんいけるのではないか。めちゃくちゃまちがってマークしてる可能性もあるので、月末の正式な合格発表を待ちたい。

感想

とにかくまとまった電子工学分野の知識を得たい、ということではじめた1アマチャレンジだけども、その目的はそこそこ達成されたと思う。基礎知識が増えて電気のことや回路の話題が出てもだいたい何を言ってるのがわかるようになった。ただ実際自分で回路を考えたり分析したりするとなると、もう少し勉強が必要そうである。先は長い。

もし合格していれば、無線機を運用する免許を得られるので、せっかくなのだから実際の交信も体験してみたい。くわしい人にどのリグを買ったらいいか聞きたい。短波帯にはそのうち出てみたいけど、設備をそろえるのがたいへんだろうからまずはハンディだろうな〜。

こういう資格試験は目標設定としてはわかりやすく、締切や達成度の指標もあるので、真剣に勉強をつづけることができてよかった。ただ、勉強内容が試験に最適化されがちだし、コストも高いので効率はそんなに良くないかもしれない。

ひとまずは一つおもしろチャレンジが完了したのでほっとした。三ヶ月ずっと勉強してた気がするし、なぜか途中で引越ししたりもしたので、妙にたいへんだった。はー、次は何を勉強しようかという感じだ。ソフトウェア開発とかWeb技術にちょっともどりつつ、もうちょっとデータ見れるように確率統計とかを勉強したい気がしてる。